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防災運動会の開催
-iOPを活用し学外で学び深める

 12月8日(日)、ひたちなか市にある勝田中等教育学校において「防災運動会」が開催されました。このイベントは、勝田中等教育学校中等4年生のグローバルゼミの生徒と茨城大学の学生4人(日本人学生2人、留学生2人)が協力しながら、企画?運営をしました。そして、茨城大学グローバルエンゲージメントセンター/地域未来共創学環の瀬尾匡輝准教授がプログラム内容などについてアドバイスをしました。
 イベント当日の様子を、茨大広報学生プロジェクトの高林叶帆さん(地域未来共創学環1年)、秋山美咲さん(同1年)が取材しました。

 今回行われた「防災運動会」の目的は、「日本に暮らす海外にルーツを持つ人たち」に地域住民との交流を通して、災害に向けた準備をしてもらうこと」です。海外にルーツを持つ方々はことばの壁や文化的な違いなどからなどから情報弱者になりやすく、特に災害時には「災害弱者」となり、より困難な状況を余儀なくされるそうです。茨城県内では在留外国人数は増加傾向にあるため、災害への備えとしてこのような機会はとても大切です。

 茨城大学の学生は9月末ごろから、毎週月曜日に勝田中等教育学校を訪問し、生徒やひたちなか市内に住む在留外国人と準備を進めてきました。話し合いを重ね、本番で行う、体を動かし楽しみながら、防災について考えるゲームを企画しました。

 迎えた当日。運動会の開始前には、チームのメンバーで集まり、入念にリハーサルが行われました。こちらは、リハーサル時の写真です。実際に台本を読み、競技の進行を確認することで、本番に予想される出来事について話し合いました。 まだまだ在留外国人に伝わりやすい表現やことばではなく、声量や話すスピードにも問題があったため、細かく手直しをしている姿も見受けられました。

画像1.jpg リハーサルの様子

 受付開始から多くの人が集まり、早速運動会が始まりました。最初に行われた「Emergency Whisper Game! 急いで伝えろ 伝言ゲーム」では、「高台へ逃げて!」「建物の外へ逃げて!」など、避難時に使用する言葉を伝え、その状況に見合う絵を探し出すというゲームでした。どのグループも、絵を探し出すのは海外にルーツを持つ方。言葉を記憶しながら絵を探す、という作業に苦戦している人も多く見られました。

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 伝言ゲーム終了後には、勝田中等教育学校の生徒から、やさしい日本語を使っての避難方法?注意点について説明がありました。

 「目指せ頂き!エレガントな避難所ライフ」では、各グループに分かれ、ダンボールベッド体験&新聞紙スリッパ体験を行いました。

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 新聞紙スリッパ体験は、足ツボマットを瓦礫等に見立て、その上を自分で作成した新聞紙スリッパで歩くというものでした。素足では痛みで歩けませんが、新聞紙のスリッパで足を守ることで、スムーズに歩けていました。素足では危険なことも、新聞紙スリッパがあれば安心して行動できる、という学びを得ることができました。

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 参加した皆さんからも、「楽しかった」「今日学んだことを知り合いにも教えたい」など、まさにこのイベントの目的が達成されたような感想を聞くことができました。

 茨城大学では、学部3年次の第3クォーターを「iOPinternship Off-campus Program)クォーター」と名付け、原則的に必修科目を開講せず、特に学外における主体的な学びを促す期間としています。夏季休業と合わせると約3か月にも及ぶこの期間を活用し、キャンパスを飛び出して、日頃の学修の実践を行います。
 この取り組みにも、iOPクォーターを活用して参加した学生がいました。運動会の運営に携わった人文社会科学部3年の飛松亮佑さんは「準備期間中は、情報共有が上手くいかず、苦戦する場面もありました。運動会では裏方に徹しましたが、参加者の方が帰る時、笑顔を浮かべている姿を見て、嬉しくなりました」と達成感を得たことを教えてくれました。わずか3ケ月という短い準備期間でしたが、見事運動会を成功させました。飛松さんは本活動での成果により、iOPの活動で優れた成果をあげた学生を表彰する「iOP-AWARD」にて、優秀賞を受賞しています。

 今回の活動のように、キャンパスを飛び出し、実際にその場所に暮らしている人々と交流することなどにより深められる学びがあります。また、授業期間に比べて割くことのできる時間が増え、より詳しく学びたいことや経験してみたいことなど、各学生の目標に合わせた学修ができます。茨城大学のiOPクォーターは、そのような日頃の学修を深める期間、そして学生の多様な興味に合わせて能動的に学ぶ期間として学生の「サクセス」の実現に役立っています。

編集後記

 今回のイベントに参加し、さまざまな国籍の方々の交流の大切さを再認識しました。国籍が異なっても、同じイベントを共有することは、互いの文化?価値観を理解し合う機会になります。さらに、防災について学ぶことの大切さも改めて感じました。このような知識を共有することで、災害時における備えが万全になると感じました。
 また、このイベントは中等生と大学生が共同で運営しており、非常に感銘を受けました。特に大学生が参加することで、イベントがより充実した内容となり、多くの学びが得られる場になったと思います。今後も、このような交流の場が増えることを願っています。